第10話
- くまくま
- 2021年3月1日
- 読了時間: 3分
皆様こんにちは。くまくま、だ。
ミケさんとお姉さんを見送り、僕も家に戻ってきた。
『おかえり、くまくま。あれ、彼女はどうしたの?』
彼女? 誰のことだよ。
『三毛猫さんのことだよ。一緒に帰ってこなかったの?』
僕はヌシさんにきちんと説明していなかったことを思い出した。そして、ヌシさんが誤解をしていることも。事の次第を話すと、とてもガッカリしたみたいだ。一体何がそんなに残念なのさ。
『いや、だって、さあ。くまくまに、いずれは、お嫁さん、いいなって』
ごめん、ヌシさん何を言いたいのかよく分からない。それに僕、考えが古いって言われるかもしれないけど、パートナーは同族のクマがいい。
『そんなあ』
そんなあって何さ。僕のパートナーだぞ、僕の。ヌシさんの好みを押し付けないでくれないかな。あ、凹んじゃったよ、ヌシさん。
ヌシさんは、凹んだ挙句、寝てしまった。まあ、放っておこう。僕は今回のことを振り返るべく、僕専用の椅子に腰かけた。ちなみに、この椅子は、僕がヌシさんを遠隔操作して買ってもらったものだ。ちなみに折り畳みの椅子なので、座り心地がいいわけじゃない。けど、気に入っている。
話がそれてしまったな。
お姉さんとミケさんは、無事に帰れたんだろうか。お姉さんの元気がなかったのが少し気になる。現実に戻りたくなくなるほどの悩みってなんだろう。他人、いや他ヌイグルミのヌシさんだけど、心配だな。元気になってくれるといいな。まあ、ミケさんという力強いヌイグルミが傍にいるからきっと、いや多分大丈夫・・・・・・って、痛い! 後頭部に衝撃を受けて、僕は椅子から落ちそうになった。振り返ると、そこには別れたばかりにミケさんがいた。
「くまくまさん、あらためてお礼をいいに来ました。先日はありがとうございました!」
「・・・・・」
「あ、先にぶつかったお詫びをするべきでした。ごめんなさい」
頭を下げたミケさんに、僕は文句をぐっとこらえて深呼吸をして、心を落ち着けてから口を開いた。
「うん、多分たいしたことないから、気にしないで」
「本当にすみませんでした。今後は、ぶつからないように気を付けて来ます。」
・・・・今後?
ミケさんはお礼をいいに来ただけではなかった。提案というか、お誘いもあったんだ。
「だから、私とわたしのご主人様とくまくまさんで、お出かけしませんか?」
誘ってくれるのは嬉しいけれど、どうして僕がミケさんたちと? それとどこに行くつもり?
「ご主人さまが、くまくまさんも一緒なら出掛けてもいいそうです。お出かけ先は、空想世界なのでどこでも好きな所に」
それなら話を受けてもいいかな。僕は首を縦にふった。
「ありがとうございます、くまくまさん。あ、もう一つお願いがあるのですが」
僕と友達になりたいというミケさんのそれを、僕は快諾した。
「もう友達なんだから、もっとくだけた話し方でいいよ」
ミケさん、僕と話すとき舌を噛みそうではらはらするんだ。だから喋りやすい話し方でいい。そう言うと、
「ありがとうにゃ」
とかえってきた。ああ、やっぱりそっちが本来のしゃべり方なんだ。ともあれ、これからよろしく、ミケさん。
コメント