第7話
- くまくま
- 2020年11月30日
- 読了時間: 2分
皆様こんにちは。くまくま、だ。
秋の行楽に出かけた山の上で、僕は声をかけられた。「少し時間をください」言ってきたのは、猫のぬいぐるみ。彼(いや彼女?)は、僕と一緒にロープウェイに乗り込み、山の麓まで下りてきた。ゴンドラから降りるなり腕をつかまれて、引きずられていったのは喫茶店の人目につきにくい席だった。席につくなり、こう言われた。
「お願いです、くまくまさん。助けてください!」
「へ???」
我ながら間抜けな声がでた。いやまて、何を助けて欲しいといんだ? 誰を助けて欲しいんだ? 目の前にいる猫か?? 返事をしない僕に、猫はさらに頭をさげた。テーブルに猫の額がゴツンとあたる。
「お願いします、この通りです!!」
「ちょっと待って。とりあえず頭をあげてください」
頭をあげてもらう。
「分かるように説明してください。まずは、あなたの名前、教えてください」
「わたし、ミケっていいます。くまくまさんにお願いがあるんです」
うん、僕の話を半分しか聞いてくれてないようだ。
「ミケさん。僕にお願いっていうのは、いったい」
「わたしを、猫カフェに連れていって欲しいんです」
うんうん、これはナンパというやつかなんて馬鹿なことを一瞬だけ考えた。でも、それにしてはミケさんが必死すぎる。僕が知っている猫カフェは一つしかないけど、そこ、なのかな?
「えっと、ミケさん。あなたがいう猫カフェってどこの」
「猫が店員の猫カフェのことです」
僕が行ったことがある猫カフェのことのようだ。でも、なぜ、そこに行きたいんだろう? 僕だって自分の意志で行ったことはないから、連れていけないと思う。そう伝えると、
「でも、くまくまさんは、2回も行ってますよね! 行けるはずですよね!!」
なぜ行った回数まで知っているんだろう。そこがちょっと怖くて、何とか断ろうとしたのだけれど、ミケさんは諦めてくれなかった。かなりの長時間の押し問答の結果、折れたのは、僕。
「わかりました。僕のヌシさんに協力してもらうように頼んでみます。でも、ヌシさんに断られるとか、協力してもらっても行けなかったら、諦めてくださいね」
「ありがとうございます、くまくまさん!」
さて、ヌシさんにどう頼もう。あのぐうたらなヌシさんが協力してくれる方法を考えなければ。
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