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第6話

皆様こんにちは。くまくま、だ。

 あの不思議な猫カフェに、あんな秘密があったなんて知らなかった。全然気付かなかった、というより、気付きたくなかったな・・。ごく普通の猫カフェだと思っていたんだけどな。見かけによらないんだな、人も、カフェも。そんなことを思っていると、ヌシさんが声をかけてきた。

『くまくま、このあいだ買った本は読み終わった?』

 読み終わったよ。なかなか興味深い内容だった。どんな内容かと説明を求められると、・・・・・困るけど。

『・・・・・困るんだ』

 なにさ、ヌシさんも読めばいいじゃないか。

『私も読んだよ』

 なら、僕に説明を求めなくても。

『・・・・・私も、説明、できない』

 ・・・・・僕もヌシさんも、随分と頭が劣化しているようだね。仕方ない、もう一度読み直すしかない。でもまあ、一旦本を置いて、出かけることとしよう。

 読書の秋もいいけれど、行楽の秋も堪能したい。秋の行楽といえば、やっぱりあれだよ、あれ!

『芋掘り、栗拾い、りんご狩り、梨狩り、柿狩り、ブドウ狩りに紅葉狩り!!』

 ヌシさん、割り込まないでくれるかな。しかも全部食べ物じゃないか。いくら食欲の秋だからって、そんなに食べたらお腹を壊すぞ。

『単なる願望だもん。それに紅葉は食べられないもん』

 うっ、それは・・・。くそ、こうなったら紅葉狩りは僕一人で行ってやる!

『え、ちょっと。くまくま、待って!』

 ヌシさんを残して家をでた。さあ、どこに行こう。どこがいいかな・・・。そうだ、電車やバスで行けるところにしよう。(いや、乗らなくてもいいんだよ? 自由にどこにだっていけるんだから。でもせっかくの行楽だもの、道中も楽しみたいもの)うん、決まりだ。

 電車に乗る前に、お弁当を買った。買ったそれは、クマのリュックサックへいれて、さあ出発。・・・え、くまがクマのリュックを背負うなんておかしいって? かわいい僕が、これまたかわいいリュックを背負う。可愛さは二倍、癒しは二乗。おかしいところなんて、ひとつもない、うん。だから当然、害もない。

 話がそれた。

 電車に乗り込み、いよいよ出発だ。途中で乗り換えたあたりから、旅気分が盛り上がってきた。うきうきしながら最寄り駅で降りた。バスに乗り換えて揺られること数十分。ロープウェイ乗り場に到着。ぬいぐるみ生初のロープウェイにドキドキしながら、乗り込む。ここからの眺めはきっと最高・・・。あれ、見えない。窓の位置が高すぎて、僕の身長では、外が見えないっ。仕方ない、座席によじ登って・・・っと。よし、見えた。おお、月並みなセリフだけど綺麗だ、絶景だ。インスタバ・・違う、インスタ映えってやつだ、きっと。あ、あんなところに人がいる。あそこまで登ったのか、凄いなあ。そんなふうに一人で盛り上がっているうちに山の上についていた。

 お弁当を食べる前に、散策することにした。どこも絶景で、本当に来てよかった。問題があるとすれば、カメラを持ってこなかったことだ。僕としたことが大失敗だ。忘れたのは僕専用のものを持っていないからだろうな。よし、ヌシさんに買ってもらおう。もしくは、ヌシさんが大切にしまっているのを・・・(以下略)。それよりもヌシさんの旦那さんに・・・(やっぱり以下略)。

 お弁当を食べて、もう一度散策し、ついでにお土産屋さんをのぞいた。十分満喫したし、そろそろ帰ることにしよう。下りのロープウェイを待っていると、声をかけられた。それもかなり恐縮した声で。振り返ると、そこには猫のぬいぐるみが立っていた。

「突然声をかけて申し訳ないですにゃ。少しお時間を頂きたいですにゃ」

 僕はなぜか、あの猫カフェのことを思い出していた。

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